あなたが社長だなんて気が付かなかった〜一夜で宿したこの子は私だけのものです〜
翌日も朝から礼央さんは部屋に来てお昼を一緒に作って食べた。
午後になりドライブに誘われ出かけることにしたが彼の車に驚いた。
近くのパーキングに車を置いてきた彼は取りに行ってくれ、アパートの前まで持ってきた。
想像通りの高級外車でとても大きかった。
「あ、また引いただろ? これは自分でちゃんと稼いで買った自慢の車だ。やっと手に入れたんだ。コツコツ貯めて買ったんだ」
私の考えてることがわかったようで説明してきた。
「ごめんなさい」
「いや、でも社長だからってなんでも手に入るわけではない」
「そうですよね。偏見でした。ごめんなさい」
礼央さんは私の頭を撫でながら、
「雪のいいところをまた見つけたよ。すぐにこうして反省して謝れるところも魅力だね」
普通のことなのに改めて褒められるとなんだかくすぐったい。
「さ、行こうか。明日は仕事だからあまり遠くには行けないし、歩かないで済むところに行こう」
行き先は教えてくれない。
どこに行くのかな、と思っていると高速に乗ってしまう。
車の中は礼央さんが好きなのか洋楽がかかっている。
うん、礼央さんっぽい。
1時間走ると海が見えてきた。
高速を降りると広い駐車場に車を停めた。
着いたのは海辺に立つ図書館だった。
マーレ図書館と書いてあるこの場所は図書館から伸びる桟橋が海に迫り出していて素敵だ。
海側は全面ガラス張りになっていて本を読みながら海を眺めることができる。
またテラスには椅子が置いてあるためここで読んだり休憩もできるようだ。
「素敵なところですね」
私が歩き出そうとするとすかさず腰を抱き私を支える。
こうしてもらうと足への負担が軽くなる。
私が見上げると礼央さんは私の顔を見下ろし微笑んでいた。
図書館の中のカフェに入るとここも全面ガラス張り。
メニューを見て思わずクリームソーダを注文すると礼央さんはアイスコーヒーを頼んでいた。
子供っぽかったかな、と思うけれど無性に飲みたくってしまった。
届いてみると定番のさくらんぼが上にのっておりテンションが上がる。
「美味しそうだな。俺も格好つけずに頼めばよかった」
小さな声で呟く礼央さんはやはり可愛い。
最初に会った日、あんなに堂々として大人に思えた彼にこんな可愛いところがあったなんて思っても見なかった。
もちろん今でも大人だし、素敵だけどこんな一面を見てしまったらキュンとする。
「少し飲みませんか? 美味しいんですよ」
私が差し出すと、いいのか?と聞いてきた。
頷くと彼はストローでメロンソーダを飲んだ。
「アイスもどうぞ」
そういうと彼は笑いながらアイスも掬って口にした。
「うまい」
私が微笑むと彼も笑いかけてくれる。
海を見ながらのんびりとこうして過ごせるなんて贅沢な時間の使い方だ。
休みの日になると買い出しに行ったり掃除をして1日が終わってしまう。
日曜は週明けの仕事のことを考えると電車に乗って遠出する気になれなかった。
でも礼央さんはさっと私を連れ出してくれた。
「海で泳いでる人がいるな。俺も昔はサーフィンやってたけどもう何年もやってないな」
「すごい! サーフィンできるんですか?」
「少しだけだよ。でも忙しくてしばらくやってないからボードに立てないかもな」
「礼央さんはモテたでしょうね。見た目も良くて、料理もできて、サーフィンもできて……出来ないことはないんですか?」
「あるさ。お化けが嫌いだ。それに辛いものも苦手。大勢で遊ぶのも苦手だな。のんびりこうして海を見てたり本を読む方が好きだな」
やっぱり可愛い。
どうして可愛いところばかり見えてきちゃうの。どれも彼の魅力にしか思えない。
「雪は? 苦手なものある?」
「私もお化けは苦手です。大勢で遊ぶよりは少ない人数の方がいいです。あとはパクチーとか香りの強いものは得意じゃないかな。高いところもちょっとだけ苦手」
「可愛いなぁ」
今の会話で可愛いところなんてなかったと思う。
なのに礼央さんはそう言ってくれる。
礼央さんに可愛いと言われるたびドキドキしてしまう。
あ……
お腹の中でぽこっと動いた。
私が手を当てると礼央さんも気がつき隣に移動してきた。私のお腹に手を当てるとじっと動くのを待っている。
またぽこっとした。
私が礼央さんの顔を見ると頷いている。
そして身をかがめると両手を口に当て内緒話をするようにお腹に話しかけ始めた。
「お前のママは可愛いなぁ。俺がお前とママを守ってあげたいんだけどダメか?」
私の耳にも届いているがなんで反応したらいいのか困る。
「俺はお前のママが可愛くて、甘えさせてやりたくて仕方ないよ。早くそうなるように協力してくれよ」
もう!
私は本当に反応に困り顔が火照る。
メロンソーダを飲むとその様子を見てお腹に手を当て、下から笑いながら見上げてきた。
「雪ー」
「礼央さんに可愛いと言われるたびに恥ずかしくなるんです!」
「どうして?」
「見た目の釣り合いが取れないから」
「そんなことない。このツヤツヤした黒髪もぱっちりとした目元も可愛い。考え事をするときに見上げる仕草もな。何より心がきれいだ」
私は礼央さんの口を押さえた。
「やめてください。礼央さんに言われるほど恥ずかしいことはないんです。礼央さんにそんなことを言わせるなんてよほどな女の人じゃなきゃダメなんです!」
「雪が1番見た目を気にしてる。俺の中身を見て」
私の目をじっと見つめてきた。
そして手を握ると何も言わずに海を眺め始めた。
午後になりドライブに誘われ出かけることにしたが彼の車に驚いた。
近くのパーキングに車を置いてきた彼は取りに行ってくれ、アパートの前まで持ってきた。
想像通りの高級外車でとても大きかった。
「あ、また引いただろ? これは自分でちゃんと稼いで買った自慢の車だ。やっと手に入れたんだ。コツコツ貯めて買ったんだ」
私の考えてることがわかったようで説明してきた。
「ごめんなさい」
「いや、でも社長だからってなんでも手に入るわけではない」
「そうですよね。偏見でした。ごめんなさい」
礼央さんは私の頭を撫でながら、
「雪のいいところをまた見つけたよ。すぐにこうして反省して謝れるところも魅力だね」
普通のことなのに改めて褒められるとなんだかくすぐったい。
「さ、行こうか。明日は仕事だからあまり遠くには行けないし、歩かないで済むところに行こう」
行き先は教えてくれない。
どこに行くのかな、と思っていると高速に乗ってしまう。
車の中は礼央さんが好きなのか洋楽がかかっている。
うん、礼央さんっぽい。
1時間走ると海が見えてきた。
高速を降りると広い駐車場に車を停めた。
着いたのは海辺に立つ図書館だった。
マーレ図書館と書いてあるこの場所は図書館から伸びる桟橋が海に迫り出していて素敵だ。
海側は全面ガラス張りになっていて本を読みながら海を眺めることができる。
またテラスには椅子が置いてあるためここで読んだり休憩もできるようだ。
「素敵なところですね」
私が歩き出そうとするとすかさず腰を抱き私を支える。
こうしてもらうと足への負担が軽くなる。
私が見上げると礼央さんは私の顔を見下ろし微笑んでいた。
図書館の中のカフェに入るとここも全面ガラス張り。
メニューを見て思わずクリームソーダを注文すると礼央さんはアイスコーヒーを頼んでいた。
子供っぽかったかな、と思うけれど無性に飲みたくってしまった。
届いてみると定番のさくらんぼが上にのっておりテンションが上がる。
「美味しそうだな。俺も格好つけずに頼めばよかった」
小さな声で呟く礼央さんはやはり可愛い。
最初に会った日、あんなに堂々として大人に思えた彼にこんな可愛いところがあったなんて思っても見なかった。
もちろん今でも大人だし、素敵だけどこんな一面を見てしまったらキュンとする。
「少し飲みませんか? 美味しいんですよ」
私が差し出すと、いいのか?と聞いてきた。
頷くと彼はストローでメロンソーダを飲んだ。
「アイスもどうぞ」
そういうと彼は笑いながらアイスも掬って口にした。
「うまい」
私が微笑むと彼も笑いかけてくれる。
海を見ながらのんびりとこうして過ごせるなんて贅沢な時間の使い方だ。
休みの日になると買い出しに行ったり掃除をして1日が終わってしまう。
日曜は週明けの仕事のことを考えると電車に乗って遠出する気になれなかった。
でも礼央さんはさっと私を連れ出してくれた。
「海で泳いでる人がいるな。俺も昔はサーフィンやってたけどもう何年もやってないな」
「すごい! サーフィンできるんですか?」
「少しだけだよ。でも忙しくてしばらくやってないからボードに立てないかもな」
「礼央さんはモテたでしょうね。見た目も良くて、料理もできて、サーフィンもできて……出来ないことはないんですか?」
「あるさ。お化けが嫌いだ。それに辛いものも苦手。大勢で遊ぶのも苦手だな。のんびりこうして海を見てたり本を読む方が好きだな」
やっぱり可愛い。
どうして可愛いところばかり見えてきちゃうの。どれも彼の魅力にしか思えない。
「雪は? 苦手なものある?」
「私もお化けは苦手です。大勢で遊ぶよりは少ない人数の方がいいです。あとはパクチーとか香りの強いものは得意じゃないかな。高いところもちょっとだけ苦手」
「可愛いなぁ」
今の会話で可愛いところなんてなかったと思う。
なのに礼央さんはそう言ってくれる。
礼央さんに可愛いと言われるたびドキドキしてしまう。
あ……
お腹の中でぽこっと動いた。
私が手を当てると礼央さんも気がつき隣に移動してきた。私のお腹に手を当てるとじっと動くのを待っている。
またぽこっとした。
私が礼央さんの顔を見ると頷いている。
そして身をかがめると両手を口に当て内緒話をするようにお腹に話しかけ始めた。
「お前のママは可愛いなぁ。俺がお前とママを守ってあげたいんだけどダメか?」
私の耳にも届いているがなんで反応したらいいのか困る。
「俺はお前のママが可愛くて、甘えさせてやりたくて仕方ないよ。早くそうなるように協力してくれよ」
もう!
私は本当に反応に困り顔が火照る。
メロンソーダを飲むとその様子を見てお腹に手を当て、下から笑いながら見上げてきた。
「雪ー」
「礼央さんに可愛いと言われるたびに恥ずかしくなるんです!」
「どうして?」
「見た目の釣り合いが取れないから」
「そんなことない。このツヤツヤした黒髪もぱっちりとした目元も可愛い。考え事をするときに見上げる仕草もな。何より心がきれいだ」
私は礼央さんの口を押さえた。
「やめてください。礼央さんに言われるほど恥ずかしいことはないんです。礼央さんにそんなことを言わせるなんてよほどな女の人じゃなきゃダメなんです!」
「雪が1番見た目を気にしてる。俺の中身を見て」
私の目をじっと見つめてきた。
そして手を握ると何も言わずに海を眺め始めた。