あなたが社長だなんて気が付かなかった〜一夜で宿したこの子は私だけのものです〜
ふと目が覚めると私はベッドの中にいた。

横を見るとさっきまで一緒に飲んでいた彼が横で寝ていで驚いた。
と同時に何があったのか思い出され、焦った。

今まで知らない人とこういうことをしたことなんてない。
でもこの人のおかげでひとり部屋で情けなく泣くこともなく、前向きにさせてもらえた。

私はベッドをそっと下りるとワンピースを持ち部屋を出た。
ベッドルームの他にリビングやバスルームがあるところを見るととてもいい部屋のようだ。
バスルームで着替え、髪の毛をひとつにくくると置いてあったメモにメッセージを残した。

【あなたのお陰で前を向いて歩いていけそうです。本当にありがとうございました。雪】

メモをテーブルの上に置き、私はそっと引き出物を持って部屋を出た。

昨日このホテルに来た時には気が重くて仕方なかったけれど今はこの朝焼けのように清々しい。
私は大きく伸びをすると駅へ向かった。
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