夏樹先輩、好きでした。
先輩のためのポニーテール
久遠先輩に、クリームパンを奢ってもらってから数日後の朝。
「あっ。1年生ちゃん」
登校してきた久遠先輩と、昇降口でばったり会った。
「そうだ。1年生ちゃん、じゃなかった。
おはよう、花梨ちゃん」
『花梨ちゃん』だって。うわ〜〜!
やばい、やばい。どうしよう。
先輩に、名前で呼んでもらっちゃったぁ。
私は感激して、涙腺が緩む。
「……あれ? もしかして、いきなり花梨ちゃん呼びはまずかった? だったら、ごめん」
私が黙り込んでしまったからか、先輩が謝る。
「いっ、いえ。大丈夫です」
嬉しすぎて泣きそうになったって言ったら、さすがに引かれる……よね?
「おはようございます、久遠先輩」
「あのさ。久遠先輩、じゃなくて」
「え?」
「俺のことも、" 夏樹 " で良いよ?」