夏樹先輩、好きでした。
先輩のカノジョ
週末。私は椎菜と一緒に、夏樹先輩への誕生日プレゼントを買うため、街へとやって来た。
タンブラーとか、スポーツバッグとか。色々なものを見て回って。
悩みに悩んだ結果、先輩へのプレゼントはスポーツタオルにした。速乾性のある黒地のタオルに、有名スポーツブランドのロゴマークが入っているものだ。
渡して受け取ってもらえたとしても、先輩の好みに合わないとダメだし。
やっぱり、普段使いできるものが一番だと思って。
夏樹先輩、受け取ってくれるかな?
タオル、使ってもらえると良いなぁ。
プレゼントを渡したときの先輩の顔を思い浮かべ、私はプレゼントの入った紙袋をそっと抱きしめる。
「ねぇ、椎菜。今日は、買い物付き合ってくれてありがとう。良かったら、最近新しくオープンしたカフェでお茶していかない?」
「良いね。あたしもあそこ、気になってたんだよね〜」
私が、椎菜と話していたときだった。
「ありがとうございましたーっ!」
椎菜と目指していたカフェの出入口から、ちょうど1組の男女が出てきた。
そのうちの男の子の横顔が、夏樹先輩にそっくりで。
「夏樹、先輩……?」