夏樹先輩、好きでした。


夏樹先輩に自分の名前を覚えてもらえたくらいで、浮かれて。


学校の廊下で先輩に会って、声をかけてもらうたびに喜んで。


この間、ポニーテールを褒められてあんなにも舞い上がっちゃって。


本当にバカだ、私。


さっき見た夏樹先輩とエリカさんは、遠目からでも分かるくらいの美男美女で。

ほんとにお似合いだった。


あんなモデルみたいにきれいな女の子が、先輩の隣を歩くのがふさわしいんだ。


「うっ……」


ずっと堪えていた冷たいものが、私の頬を伝った。


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