夏樹先輩、好きでした。
先輩への想い
あれから程なくして、夏休みに突入した。
7月最後の日曜日の、夏樹先輩のバスケの引退試合。本当は見に行きたかったけど、行かなかった。
先輩に一方的に会わないと告げたのだから。
先輩に会わせる顔なんて、私にはない。
だから、あれからすぐに学校が夏休みになってほっとした。
***
長い夏休みもあっという間に過ぎていき、2学期が始まった。
1年生と3年生だから、夏樹先輩と会うことはほとんどなかった。
このとき初めて、先輩と学年が違って良かったと心から思った。
先輩と会うことなく、時が過ぎていき……
夏には青々としていた校庭の葉桜が、赤や黄色に色づき始めた頃。
一度だけ、先輩と学校の廊下ですれ違うことがあった。