夏樹先輩、好きでした。
久しぶりに見る夏樹先輩は、相変わらずかっこよくて。
初めて会ったときのように、私は先輩のことをじっと見つめてしまった。
夏樹先輩は私を見ると「あっ」と声を上げたが……。
一瞬気まずそうな顔をしたあと、すぐにふいっと顔を背け、友達と足早に歩いて行ってしまった。
「花梨……大丈夫?」
そんな私を心配してか、隣にいた椎菜が声をかけてくれる。
「うん。だいじょう……ぶ」
そう答えたものの、私は全然大丈夫じゃなかった。
「大丈夫、じゃないよね。花梨、あたしの前では無理しなくて良いから」
椎菜は、私の背中をポンポンと優しく叩いてくれる。
「ごめん。ありがとう、椎菜」
先輩にあんな態度をとられたのも、元はと言えば私のせいなのに。傷つくなんて……勝手すぎるよね。
それに、さっきからずっと胸が苦しいくらいドキドキしている。
このドキドキはたぶん、久しぶりにこんなに近くで先輩を見て、緊張したせいだ。
「……ねぇ、花梨。このままで良いの?」