夏樹先輩、好きでした。
「うそ、花梨。お弁当忘れたの!?」
「今朝、寝坊して慌てて家を出たから……家のダイニングテーブルにお弁当箱置いたままだ」
「ふはっ。たまに少し抜けてる、花梨らしいね」
椎菜がクスクスと笑う。
あー、もう。私のバカバカ!! いくら急いでいたからって、お弁当を持ってくるのを忘れるだなんて。
「今日、お昼ご飯なしかぁ……」
私の呟きと共に、ぐぅ〜っとお腹が虚しく鳴った。
「ねぇ、花梨。あたしのお弁当で良かったら、半分食べる?」
椎菜が自分のお弁当を、私のほうへと押しやる。
「いや、それはさすがに椎菜に悪いよ。
……あっ、そうだ」
私は、学校に購買部があることを思い出した。
入学してから、まだ一度も利用したことはなかったけど……。
財布を片手に、私は席を立つ。
「椎菜、私購買に行ってくるから。先に食べててくれる?」
「おっけー。行ってらっしゃい」
椎菜に声をかけると、私は3階から購買部のある1階へと急いだ。