夏樹先輩、好きでした。


「うそ、花梨。お弁当忘れたの!?」

「今朝、寝坊して慌てて家を出たから……家のダイニングテーブルにお弁当箱置いたままだ」

「ふはっ。たまに少し抜けてる、花梨らしいね」

椎菜がクスクスと笑う。


あー、もう。私のバカバカ!! いくら急いでいたからって、お弁当を持ってくるのを忘れるだなんて。


「今日、お昼ご飯なしかぁ……」

私の呟きと共に、ぐぅ〜っとお腹が虚しく鳴った。


「ねぇ、花梨。あたしのお弁当で良かったら、半分食べる?」

椎菜が自分のお弁当を、私のほうへと押しやる。


「いや、それはさすがに椎菜に悪いよ。
……あっ、そうだ」


私は、学校に購買部があることを思い出した。

入学してから、まだ一度も利用したことはなかったけど……。


財布を片手に、私は席を立つ。


「椎菜、私購買に行ってくるから。先に食べててくれる?」

「おっけー。行ってらっしゃい」


椎菜に声をかけると、私は3階から購買部のある1階へと急いだ。



< 4 / 60 >

この作品をシェア

pagetop