夏樹先輩、好きでした。
翌朝。
私は、校門の前に立っていた。
時刻は、午前8時前。
「夏樹先輩、まだかな?」
吐く息は白く、花びらが舞うように雪がちらつく中で、私は夏樹先輩が登校してくるのを待っていた。
「……あれ? 花梨ちゃん?!」
それからしばらくして、夏樹先輩がやって来た。
「おはようございます!」
「おはよう……って。え、どうしたの? こんなところで立って……」
「夏樹先輩を、待っていたんです」
「俺?」と夏樹先輩が首を傾げながら、人差し指で自分のことをさす。
「えっと……昨日先輩にパスケースを拾ってもらったお礼を、改めてちゃんと言いたかったのもあるんですけど……」
私は、ゴクリと唾を飲み込む。
「本当は……先輩に会いたくて。ここで待ってました」