夏樹先輩、好きでした。
って、うわ〜っ。先輩に会いたくてって!
私ってば、ストレートに言い過ぎたかな?
私の頬に、熱が集まってくる。
「マジで? 俺のこと、寒い中待っててくれたんだ?」
「はい。昨日、パスケースを拾ってくれてありがとうございました」
「ううん、全然。こちらこそ、わざわざありがとう」
先輩が、にこっと笑う。
「あの……去年の先輩の誕生日のことですけど。あのときは、ごめんなさい」
私は、先輩へと向かって頭を下げる。
本当はずっと、謝りたかった。
「あのとき、私が一方的に『夏樹先輩とは、もう会いません』って言っちゃいましたけど……」
私は、ふぅーっと深呼吸する。
「これからは前みたいにまた……先輩とこうして会っても良いですか? 同じ高校に通う、"先輩" と"後輩"として」
「…………」
しばらくの沈黙が続き……
先輩の口から「はぁーっ」というため息がこぼれた。