夏樹先輩、好きでした。


1階の購買部へやって来ると、昼休みも残り30分ほどだからか、パンは数えるほどしか残っていなかった。


玉子のサンドイッチ、焼きそばパン、カレーパン。それと……あっ!


棚にひとつだけ残っていたクリームパンが、私の目に止まった。


私はパンの中でも、昔からクリームパンが一番好きだった。


ラッキー。今日は、お弁当を忘れてついてないと思っていたけど。大好きなクリームパンがラスト1個残っていたから、今日はやっぱりついてるかもしれない。


私は、棚にひとつだけ残っていたクリームパンに手を伸ばす。

すると、隣から誰かの手がスッと伸びてきて……。


「……っ!」


私たちは、同時にそれを掴んだ。



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