夏樹先輩、好きでした。
先輩には、エリカさんがいるから。
どちらにしても、私の初恋が叶うことはない。
もし、告白の意図に先輩が気づいたら、困ってしまうかもしれない。
でも、チューリップは春の花だから。
もしかしたら、" 偶然なのかな? " と、先輩に思ってもらえる可能性もあるから。
今の私にとっては、一番ベストな想いの伝え方……だと思う。
教室へと戻ってきた私は、窓際の自分の席に座り、窓の外を見ながら思いを馳せる。
…──夏樹先輩、高校卒業おめでとう。
先輩は初めて会ったときから、かっこよくて優しくて。
笑顔が素敵で、バスケも上手で。
先輩に恋をしていたときは、本当に楽しかった。
たったの1年だったけれど……。夏樹先輩、好きでした。
私は、先輩のことが……大好きでした。
この1ヶ月、先輩を思う存分好きでいることができて。
私の自己満足だけれど、今日チューリップを贈るという形で先輩に想いを伝えることもできた。
だからもう何も思い残すことなく、私は夏樹先輩への片思いから卒業することができます……。