夏樹先輩、好きでした。


「ごっ、ごめんなさい……」


私はクリームパンから咄嗟に手を離し、自分と同時にクリームパンを掴んだ人のほうへと顔を向ける。


「……っ!」


え、ちょっと待って。

相手を見た瞬間、私はその人から目が離せなくなってしまう。


黒髪に、くっきりとした二重の瞳。
筋の通った鼻。

相手の男の人の顔は、全てのパーツが整っていて、ものすごくかっこいい。


「ん? 俺の顔に何かついてる?」

「いっ、いえ……」


いけない。あまりのかっこよさに、思わずじっと見つめてしまった。


ネクタイの色が紺ってことは……この人、3年生かな?


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