夏樹先輩、好きでした。

先輩とクリームパン



クリームパンを譲ってもらって以来、なかなか先輩とは会えずにいた。


私は1年で、先輩は3年。
学年が違う上に、教室もそれぞれ3階と1階だから、会えなくて当然なのだけれど。


先輩に会えない間、私は椎菜から先輩のことを色々と教えてもらった。


先輩の名前は、久遠 夏樹。


椎菜は、久遠先輩と同じ中学に通っていたようで、中学の頃から先輩は女子にモテていたらしい。


勉強ができて、バスケ部で運動神経も抜群。
この学校でも先輩のファンは多いらしい。


あれだけかっこよくて性格まで良かったら、女子に人気なのも頷ける。


きっと、地味な私が簡単に近づけるような人じゃない。


それでも、私は先輩ともう一度会って話したかった。


あのクリームパン、すごく美味しかったってことを直接伝えたくて。


何より、先輩のあの優しい笑顔がまた見たかったから。


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