入学初日にプロポーズされました


「俺に誘われたのがいやだったわけじゃないんだね」


「………は?」


心から嬉しそうに笑い、そう言う男に首をかしげる


なぜそうなる?


「よかった。今日は楽しもうね」

「……………せっかく出かけるんだったらね」



「素直じゃないね」


「うるさい、今日はどこに行くの、そろそろ教えなさい」


階段を降りていく男を追いかける

ずっと聞いても誤魔化し続けて教えてくれなかった



「ねぇ」


「あ、希穂ちゃん」


急にクル、と振り向いたかと思うと近寄ってきた



「今日はデートだからさ」


意味深に眦を下げて笑い、間を溜める男




言葉の続きを待っていると、


「続き、気になる?」

と、からかってきた


カチンときて、顔を背ける
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