入学初日にプロポーズされました
「…………見んな」


膝に頬杖をつき、猫そっちのけでこっちを見てくる

気まずくて、目を逸らす




「照れてる希穂ちゃん可愛い」

「照れてない、…………だから見んなっ」


男の顔との間に猫を持ち上げて顔を隠す



「この子の名前は?」

「────────深帆」


興味をもった男の膝に猫を乗せる

黒猫のまん丸な瞳が男を見上げている



「深帆、かぁ…希穂ちゃんと一字違いだねー?可愛いねー?」



─────シャーーー

「わ、威嚇された」


撫でようとした手を宙で止め、体を反らしている


毛を逆立てる猫と驚く男を交互に見て、嘆息する



「…………前世で猫に何したの?そんな嫌われてて」


呆れ半ばでそういうと男は困ったように笑った

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