入学初日にプロポーズされました
暴れる心臓を隠すように平静を装う



「えー、婚約者じゃん」

「そんなんなった記憶はない」

「俺プロポーズしたし?」

「は?本気じゃないでしょ
寝言は寝て言え」

「………」


横目に睨むと真剣な顔でこっちを見つめてきた


「なに」

「ううん、なんでもないよ
けど、俺本気だよ」

「そんな嘘信じないから安心して」


首を傾けるそいつにそう言いきり、足を速める


本気、本気、ってしつこい……


こいつのせいで遅刻なんてしたくないからね
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