入学初日にプロポーズされました
「ねえ」

低く、聞こえた声


その声に聞き覚えがあり、足を止める

聞き覚えがあると言っても昨日初めて聞いた声
────なのに話しかけられすぎて覚えてしまった声──


「俺、希穂ちゃんと歩いてたんだけど」


げ…

自分の名前が出て思わず振り返る




群がっていた人たちが道をよけ、視界にあいつが現れる


「…………」

冷たい表情をしたそいつ

その瞳と視線が絡む


え?

その顔が昨日からつきまとってくるそいつと同じとは思えなくて、眉を寄せる
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