入学初日にプロポーズされました
「お世辞じゃないよ
似合いすぎてて押し倒しそう」

「………やめて」


授業中なのに、かまわずこっちを見てくる


その視線が気にならないように、と頑張っているのに、

お世辞でも褒められてしまう



『ははっ…やば、似合いすぎ』


いつか誰かに言われた言葉と重なって聞こえたように感じた

────あのときと同じ、胸をくすぶる嬉しさ



「………希穂ちゃん」

「……………なんですか」


危ない


頬が緩むところだった

心の中で自分を戒め、唇を引き結ぶ
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