凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
 首筋にもキスを降らせた柊矢さんは、私の耳たぶを唇で挟み込み、硬くした舌の先端で耳の裏をスッとくすぐる。

「ひゃっ!」

 思わず声を上げた私が背中を浮かせると、柊矢さんは着ているニットの裾を手のひらでまさぐり、キャミソールをめくって素肌を撫でた。

 胸を手のひらで包み込むように優しく揉み、ブラのホックを外すと先端を口に含む。

「んっ……」

 輪郭だけをなぞったり、先端をちょんと弾くように舐めたりされ、くすぐったくてこそばゆい。

 胸を触っていない反対の手が、スカートの中に潜り込む。

 「あっ!」

 堪えていた声が思いのほか大きく出た。私は反射的に身もだえつつ、太ももを力ませる。

 すると柊矢さんは動きを止めた。

「ごめん、嫌?」

 低く落ち着いた声で言われ、私は小さくかぶりを振る。

「だ、大丈夫です。その、」

 どうしよう、言いかけて続けようか迷っていると、柊矢さんはピクリと片眉を上げた。

「すごく、久しぶりだから……」

 恥ずかしいけれど私は打ち明けた。きっと柊矢さんのペースに身を任せることしかできない私の反応で、経験が浅いことは隠してもバレると思った。

 私の唯一の経験は十年も前の大学時代。サークルで一緒だった人との一度だけ。飲み会のあと、余韻もなくただ痛いだけでサクッと終わった。全然気持ちいいとも思わなかった。

 彼にとっても私との情事は微妙だったせいか、構内で会っても無視されて、もちろん付き合うにも至らなかった。
 バイトも忙しかったし、私はそのうちサークルを辞め、それっきり彼とは会うこともない。残念過ぎる消し去りたい過去の記憶。

「ごめんなさい……」

 柊矢さんは気まずくて顔を背けて言った私を覗き込むように見る。
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