凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
 すると柊矢さんは私の胸に顔を埋め、盛大に息を吐いた。

「もう、無理だから」
「へっ?」

 くぐもった声がよく聞き取れなかった。

「悪いけど、ここで止める余裕ない」

 柊矢さんがワイシャツのボタンを外し、素肌を晒す。胸元の筋肉ががっちりと盛り上がっていて、お腹には線ができてる。

 細身で高身長な見た目からは、こんな猛々しいプロポーションは想像できなかった。

 再び貪るようなキスを繰り返し、色気が宿る瞳に見つめられ、私たちはひとつになる。

「あ、っん」

 柊矢さんはゆっくりと私の反応を見ながら押し進めた。

「……きつ」

 律動を繰り返しながら、私を見下ろして囁く。
 さっきまでの優しくて穏やかな柊矢さんが、余裕のない男性の瞳に変化した様子にゾクッと鳥肌が立った。

「ん、ああっ!」

 甘い悲鳴が部屋に響く。
 羞恥と快楽で、次第に視界が潤んできた。

 身をよじると、一瞬腰の動きを止めた柊矢さんが私の腕を自分の背中に回すよう促した。
 まるでしがみつくみたいに、柊矢さんを抱きすくめる。

「紗衣さん……」

 微熱をこもらせ、堪えるような声。
 涙で滲んで見える柊矢さんの眼差しがすごくいとおしく感じる。

「大丈夫?」

 動きながら僅かに眉根を寄せ、柊矢さんは私を気遣った。

 本当は大丈夫なんかじゃないけれど、こくりと頷く。
 さっきから奥が擦れるたびに全身が甘く痺れ、きゅんと収縮するのがわかった。

「可愛い。離したくない」

 不意打ちの甘い言葉に、真っ白になりつつある頭が急激に沸騰する。
 柊矢さんの背中に回した腕にギュッと力を込めた。

「……たまらないな。可愛い過ぎ」

 私の額にキスを落とし、柊矢さんは息を乱した。
 美しい顔が快楽で歪む表情に、心が揺さぶられ、感情が昂る。

 出会ったばかりの素性も知らない素敵な男性に、私はすごく大切に扱われてるんじゃないかと錯覚した。
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