凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
優しい笑顔を残して看護師さんが去って行ったあと。
「もう、おばあちゃん。外で自慢とか言うのやめてよね」
私は呆れた怒り声で抗議したけれど、祖母は気にする様子もない。
「いいじゃない。本当のことなんだから」
「よくないよ。私は恥ずかしいし!」
声が大きくなり、うるさかったのではと反省した私は周りを一瞥した。
すると隣のベッドの祖母と同じ年くらいのおばあさんも、向かい側のベッドの若い女性も、皆一様に微笑ましそうにこちらを見ているではないか。
まさか、看護師さんだけでは飽き足らず、同室の皆さんにもチェリーズカフェを宣伝したんじゃ……。ピンときた私の口からは、はからずもため息が漏れた。
「紗衣は昔から手がかからないいい子だったね。立派に育ってくれておばあちゃん嬉しいよ」
「おばあちゃん……」
目尻に皺を何本も濃く刻んで微笑まれると、なにも言えなくなる。だって困惑する私にお構いなしに、祖母はとても満足げな顔つきなんだもの。
「あ、そうだ。紗衣、そこの引き出し開けて」
突然思い出したように、真面目な声の祖母に目線で指示されて、私は床頭台の引き出しを開ける。
「白い箱が入ってるでしょう?」
「うん、これ?」
祖母に言われた通り、そこには白くて細長い箱が入っていた。
なんだろう? 新しいお箸かな?
そう思って手渡そうすると、すかさず祖母に制された。
「そうそう。それね、紗衣への誕生日プレゼントだよ」
祖母はウインクみたいに片目だけを器用に細める。
「誕生日プレゼント?」
一瞬思考が停止した。
細長い箱をまじまじと見つめ、数秒間経過したあと、今日が自分の誕生日だとようやく思い出す。
「忘れてた……」
仕事が忙しかったし、祖母の病気のことで頭がいっぱいですっかり失念していた。
「もう、おばあちゃん。外で自慢とか言うのやめてよね」
私は呆れた怒り声で抗議したけれど、祖母は気にする様子もない。
「いいじゃない。本当のことなんだから」
「よくないよ。私は恥ずかしいし!」
声が大きくなり、うるさかったのではと反省した私は周りを一瞥した。
すると隣のベッドの祖母と同じ年くらいのおばあさんも、向かい側のベッドの若い女性も、皆一様に微笑ましそうにこちらを見ているではないか。
まさか、看護師さんだけでは飽き足らず、同室の皆さんにもチェリーズカフェを宣伝したんじゃ……。ピンときた私の口からは、はからずもため息が漏れた。
「紗衣は昔から手がかからないいい子だったね。立派に育ってくれておばあちゃん嬉しいよ」
「おばあちゃん……」
目尻に皺を何本も濃く刻んで微笑まれると、なにも言えなくなる。だって困惑する私にお構いなしに、祖母はとても満足げな顔つきなんだもの。
「あ、そうだ。紗衣、そこの引き出し開けて」
突然思い出したように、真面目な声の祖母に目線で指示されて、私は床頭台の引き出しを開ける。
「白い箱が入ってるでしょう?」
「うん、これ?」
祖母に言われた通り、そこには白くて細長い箱が入っていた。
なんだろう? 新しいお箸かな?
そう思って手渡そうすると、すかさず祖母に制された。
「そうそう。それね、紗衣への誕生日プレゼントだよ」
祖母はウインクみたいに片目だけを器用に細める。
「誕生日プレゼント?」
一瞬思考が停止した。
細長い箱をまじまじと見つめ、数秒間経過したあと、今日が自分の誕生日だとようやく思い出す。
「忘れてた……」
仕事が忙しかったし、祖母の病気のことで頭がいっぱいですっかり失念していた。