凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
「昨日のこと覚えてる?」

 私のそばに腰を下ろした柊矢さんに問われ、私は目を見張った。

「き、昨日……?」

 ってことは、私あのまま寝ちゃったの⁉

 お疲れの柊矢さんに休んでくださいとか言っときながら自分が寝ちゃうなんて!

「すみません! 緊張とアルコールのせいで眠くなってしまったみたいで」

 穴があったら入りたくて、代わりに上掛けを引っ張って顔を隠そうとする私を見て、柊矢さんは眉をヘの字に下げて微笑んだ。

「いや、俺も調子に乗って二杯目を強く作り過ぎたんだ。ごめんね、二日酔いじゃない?」
「だ、大丈夫です」

 頭をポンポンと心地よいリズムで撫でられる。

 飲み慣れないカクテルと、柊矢さんからもたらされた甘い刺激に頭と体が機能停止状態になってしまったのかもしれない。

「寝顔が可愛かったから、俺は最大限の理性を働かせたよ」
「っ!」

 爽やかに微笑みながら言う台詞とは思えなくて、私は軽く仰け反った。

「今度は我慢しないよ」

 意味ありげに片目をすがめた柊矢さんを前に、私は閉口した。

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