凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
「さっき紗衣さんが倒れたとチェリーズコーヒーで聞きまして」
穏やかな声色で言い、柊矢さんは廊下で呆然と立ち尽くす私を見た。
「っ……」
嘘……。
まさかここに来てくれるなんて、信じられない。喉が張り付いて声が出ない。
「まあまあ、柊矢先生が直々にお見えになるなんて、本当にすみません。ご心配ありがとうございます」
柊矢さんを凝視していた私は、あまりの驚きで忘れていた呼吸を再開する。
「シュウヤ先生……?」
叔父が名前を確認し、思い出すように緩慢な調子で呟いた。
きっと祖母が退院したときの私との会話を思い出しているんだ。あのときレストラン・イリゼで柊矢さんと過ごしたと、うっかり名前を出してしまったもの。
私と柊矢さんを見比べた叔父は、私たちの関係にピンときたのだろう。穏やかに微笑んだ。
「母さん、紗衣と柊矢先生をふたりきりにさせてあげたらどうだい? 柊矢先生、せっかくですから中へどうぞ」
「突然すみません。お邪魔します」
叔父から祖母への提案に、深々とお辞儀をした柊矢さんがたたきで靴を脱ぐ。
「今お茶をお淹れしますからね、先生」
「ゆっくりでいいから。まずはふたりで話をさせてあげて」
忙しなくキッチンに向かおうとした祖母を叔父が制し、廊下で直立していた私をリビングに入るよう背中をそっと押して促した。
私はロボットみたいなぎこちない動きで柊矢さんとともにリビングに入る。
「スタッフの女の子が、倒れた紗衣を実家に送ったと教えてくれたんだ」
どうして来てくれたのかと私が聞きたがっているのを察して、ふたりきりになったリビングで柊矢さんは開口一番に言った。
「そうなんですね、わざわざすみません」
早乙女さんが柊矢さんに知らせたんだ。付き合ってるのは否定したけれど、勘繰ってたもんな……。
穏やかな声色で言い、柊矢さんは廊下で呆然と立ち尽くす私を見た。
「っ……」
嘘……。
まさかここに来てくれるなんて、信じられない。喉が張り付いて声が出ない。
「まあまあ、柊矢先生が直々にお見えになるなんて、本当にすみません。ご心配ありがとうございます」
柊矢さんを凝視していた私は、あまりの驚きで忘れていた呼吸を再開する。
「シュウヤ先生……?」
叔父が名前を確認し、思い出すように緩慢な調子で呟いた。
きっと祖母が退院したときの私との会話を思い出しているんだ。あのときレストラン・イリゼで柊矢さんと過ごしたと、うっかり名前を出してしまったもの。
私と柊矢さんを見比べた叔父は、私たちの関係にピンときたのだろう。穏やかに微笑んだ。
「母さん、紗衣と柊矢先生をふたりきりにさせてあげたらどうだい? 柊矢先生、せっかくですから中へどうぞ」
「突然すみません。お邪魔します」
叔父から祖母への提案に、深々とお辞儀をした柊矢さんがたたきで靴を脱ぐ。
「今お茶をお淹れしますからね、先生」
「ゆっくりでいいから。まずはふたりで話をさせてあげて」
忙しなくキッチンに向かおうとした祖母を叔父が制し、廊下で直立していた私をリビングに入るよう背中をそっと押して促した。
私はロボットみたいなぎこちない動きで柊矢さんとともにリビングに入る。
「スタッフの女の子が、倒れた紗衣を実家に送ったと教えてくれたんだ」
どうして来てくれたのかと私が聞きたがっているのを察して、ふたりきりになったリビングで柊矢さんは開口一番に言った。
「そうなんですね、わざわざすみません」
早乙女さんが柊矢さんに知らせたんだ。付き合ってるのは否定したけれど、勘繰ってたもんな……。