凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
 そして、翌週の日曜日。
 デートは柊矢さんのリクエストで、私の手料理をご馳走することになった。私が柊矢さんの家に来るのは三度目。

「柊矢さんって、インドア派なんですか?」

 家から持ってきたエプロンを着け、私は買ってきた材料を袋から取り出した。

「実はそうなんだ。けど次はどっか出かけようか。ちゃんと調べて計画しておくよ」
「いえ、それも楽しそうですけど、こうして家でゆっくり過ごすのも好きですよ」

 今日柊矢さんは午前中仕事だった。忙しい合間にも私との時間を取ってくれるのは嬉しい。

「それに計画なら私に任せてください。一応地元ですから」
「じゃあ一緒に決めよう」

 玉ねぎを切っている私の隣で、柊矢さんはタブレットを操作する。

「紗衣のリクエストは? 休みの日はなにしてるの?」
「ええと映画を観たり、カフェに行ったり……」
「あ、新しいシネコンができたの知ってる? 行ってみた?」
「いえ、まだ行ってないです。行ってみたいとは思ってたんですけど」

 冷蔵庫から取り出した合挽き肉に塩を振っていると、柊矢さんが操作したタブレットの画面を私に見せた。
 そこには郊外の大型商業施設の一角に出来た新しいシネコンが映し出されている。

「じゃあ次のデートは映画を観に行こうか。今週末は学会で出張だから、来週末にでも」
「いいですね! 今ちょうど観たい映画やってるんです」
「ここなら海岸線を通って行けば海も見れるし、ドライブも楽しめそうだな」

 再び柊矢さんが操作するタブレットの画面をちらりと覗くと、地図が表示されていた。

「あ、そういえば海岸線に人気のレストランがあるって叔父から聞きました」

 先週祖母の家で会ったとき、そのレストランはデートにぴったりな雰囲気らしく、叔父のイチオシだと言っていた。
 それを聞いていつか柊矢さんと行ってみたいと思っていたから、絶妙なタイミング。
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