凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
 普段は意地悪でスマートな柊矢さんからは想像できない新鮮な反応に驚きつつも、私は胸が温かくなるのを感じた。

「喜んでもらえて、私のほうこそ嬉しいです。自炊しないのであればお節介かなとも思ったので」
「全然そんなことないよ。むしろ前のタンブラーのときもそうだったけど、紗衣の気遣いには驚かされるよ」
「いえ、そんな……」

 喜んでもらえたうえに褒められて、今度は頬が熱くなり出した。

「それに、たしかに自炊はあまりしないけど、こうして紗衣が作ってくれたら更に嬉しい」
「わ、私の手料理でよかったらいつでも振る舞います」
「ありがとう、楽しみだよ」

 頭をポンと撫でられて、赤面した私は俯きながら小さく頷いた。

 そうしているうちに煮込みハンバーグは完成し、早速持ってきたお皿に盛り付ける。
 柊矢さんがスプーンを口に運ぶ様子にドキドキしていると。

「うん、美味い」

 ハンバーグを頬張った柊矢さんから笑顔が溢れた。
 どんどん口に運ぶ姿を見て、緊張の糸が解れ、私は肩の力をホッと抜いた。

 食後は持って来たチェリーズコーヒーのブレンドコーヒーを淹れた。
 香ばしい匂いが漂うリビングで、ソファに隣り合って座る。

「なんか本職に淹れてもらうなんて贅沢だな。こないだ持って来てくれたコーヒーも美味しかったよ」

 カップにふうっと息を吹きかけ、柊矢さんはコーヒーを一口啜る。

「飲んでくれたんですか?」
「もちろん」
「よかったです! あれ、ブラックで飲むためにブレンドされた豆なんです。橋野店長が男性に人気だって言ってたので、柊矢さんも気に入って下さるかなって」

 私もコーヒーカップを口元に運ぶ。
 ブラックブレンドを気に入ってくれたんだ。次の手土産に決定だ、と思い、ふと横を見る。
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