凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
「今すぐ抱きたい」

 耳元すぐ近くで、吐息混じりのやや緊迫した声が聞こえた。

「ヤバいな、俺。紗衣といると加減がわからなくなる」

 体が軋むくらい強い力で包み込まれ、胸がきゅんとする。
 普段感じることのない汲々とした仕草や声に、思われている実感が湧いてきて嬉しさと苦しさがない混ぜになる。

「先に言っとくけど、今日は歯止め効かないから」

 私をひょいっと軽々しく抱き上げると、柊矢さんはベッドルームに移動した。

「だからこれ以上、煽るのは禁止な」

 頬を赤くしてされるがままの私を見下ろすと、眉を下げて頼りなく微笑む。
 ベッドに降ろされ、深いキスで唇を奪いながら胸を衣服の上から優しく揉みほぐされた。

「んっ……あ」

 柊矢さんは舌で器用に私の口内をまさぐる。上顎をなぞり、私の躊躇う舌を捕らえて絡ませる。

 濃厚なキスだけでもうっとりするのに、さっきから触れられている胸の感覚が歯がゆい。
 服の上から擦るから、ちゃんと触ってほしくてもどかしい。

「紗衣、体の力を抜いて」

 チュッと音を立てて唇にキスをして、柊矢さんはもどかしさに力む私の太ももを優しく撫でた。

 私が途中で寝てしまったり、柊矢さんにオンコールがあったりで未遂に終わったから、これが二度目。
 初めのときより緊張するのは、柊矢さんを好きだと自覚したからだろうか。

「は、はい……」

 少しだけ意識して力を抜くと、柊矢さんが私の頭をポンと撫でた。

「うん、いい子」

 今度は太ももを指先でなぞられ、ゾクッとする。
 柊矢さんの次の手の動きに緊張すると同時に、心地よくほだされて陶酔してしまう。

「そんな顔、俺以外に見せるなよ」
「へ?」

 自分がどんな顔をしているのかわからないけれど、体中が熱く痺れて視界が潤んでくる。

 下半身の一番敏感な部分を指の腹で擦りながら、私の中で柊矢さんの長くて無骨な指が動く。
 快楽で頭が変になりそうで、恥ずかしくて顔を隠した手を柊矢さんに振り払われた。
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