凄腕ドクターの子を妊娠したら、溢れるほどの愛で甘やかされています
「橋野店長。金輪際、彼女にいちスタッフとしてではなく、特別な感情を持って接するのは止めていただきたい」
毅然とした態度できっぱり言い放った柊矢さんは、突然の展開にまだ頭がついていかない私の肩を抱き寄せた。
「は、はいっ! もちろんです! 自分はその、スタッフとして松本さんが心配だったたけで……」
しどろもどろに答える橋野店長は、言い切らないうちに踵を返した。
「それでは松本さん、お疲れ様でした! 柊矢先生もお疲れ様です」
慌てふためく橋野店長は病院内に戻ってゆく。どうやら残業すると決めたらしい。
「諦めが悪いやつだな」
私の肩を抱いたまま、柊矢さんは気色ばんで呟いた。
「あの、ありがとうございました。また偶然、助けていただいて……」
柊矢さんのそばからスッと身を引き、私は俯いた。
「偶然じゃないよ。紗衣を待ってたんだ」
その言葉に思わず顔を上げる。
「これ、どういうことだ?」
すると柊矢さんはスマホを掲げた。
画面には、私が昨日送ったメッセージが表示されている。
「俺と別れたいって、どういうこと? 電話しても出ないし」
「……そのままの意味です」
冷たい口調で言ったあと、キュッと下唇を噛む。血が滲むくらいの強さで痛かった。
「なぜ? 忙しくてあんまり連絡出来なかったのは謝るけど……」
困惑気味に柊矢さんが私の顔を見る。