エリート警察官は彼女を逃がさない
間違いです
楽団が奏でる民族音楽が聞こえてくる。
そこは豪華絢爛のシャンデリア、煌びやかな料理の数々。たくさんの各国のVIPがパーティーを楽しんでいるのだろう。
そんなことを思いながら、私は顔は笑顔を張り付けながらも、速足で化粧室から出た。

「ちょっと君、待って」

「なんでしょう?」

急いでいるときに声を掛けられ、私は少し早口で問い返した。そこにはいかにも警備といった雰囲気の男性が仁王立ちで立っていた。

「身分証は? どこからもぐりこんだ?」
「え?」


初対面の人間に言う言葉だとは思えず、一瞬理解できなかった。

そんな私に構うことなく、その人にいきなり腕を掴まれる。
「何するんですか」
私は叫ぶと咄嗟にその人のそれをひねり上げた。
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