エリート警察官は彼女を逃がさない
また濡れ衣をかけられたり、疑われたりするのはごめんだ。
そんな彼を無視すると、私は歩き出した。
「待って」
後ろから聞こえたこえにピタリと足を止めた後、くるりと振り返った。
「あの、先ほどあなたが言ったように、私に何かしようとしたら逆にやられますよ。そんな女なのでお気使いは結構です」
自分でも根に持っていたんだな。と思うも発してしまった言葉はもとに戻らない。
てっきりエリート警察官ともなれば、そんなことを言われて怒ると思いきや、予想外の言葉が降ってきた。
「悪かった。重ね重ね君を不愉快にしてしまったみたいだな」
整えられていた髪をクシャりとすると、前髪が少し額にかかり冷たさが減ったように見えた。