エリート警察官は彼女を逃がさない
「どうして? ここで何を?」
「一目謝りたくて。連絡するといいながらできなかったこと」
「そんな……」
昼間確かにそのことを気にしていたがいざ、こうして本人を目の前にしてしまえば何も言えない。
「美緒の連絡先が入ったスマホを忘れたまま仕事でずっと出てる」
真っ直ぐに伝えられた言葉に嘘はないように見える。ここにいることが仕事というのならそうなのだろう。
「わかりました。身体には気を付けてくださいね」
きっと重要な言えない内容だと理解して、私は笑顔を見せた。
そうするといきなり抱きすくめられたと思うと、彼の腕に囲われていた。
「ありがとう」
細く見えたのに、抱きしめられた腕は力強く筋肉もついているようだ。私もそれほど華奢ではないし、男勝りで生きてきたがすっぽりと抱きすくめられたことに驚いてしまった。
そして少しして、今の状況をじわじわと理解する。