エリート警察官は彼女を逃がさない
『今日、あのホテルでの仕事が終わったんだけど、フロントに姿が見えなかったから電話してみた』
「でも、それならお仕事が終わったばかりじゃないんですか?」
ずっと忙しいと言っていたのに、大丈夫なのだろうか? そう思いながら尋ねれば電話の向こうから、車のエンジン音が聞こえた。
『もう、今から迎えに行くために車に乗ったから断るのは無理だからな』
「え? 二階堂さん?」
『準備しといて』
私が何かを言うのを待つことなく、電話は切られていた。
強引すぎる! そうは思うも、私は慌てて布団を部屋に戻すと、クローゼットを開けた。
あの素敵な人のとなりに立つ自分の想像がつかない上に、どこに行くかもわからない。