エリート警察官は彼女を逃がさない
「美緒、乗って」
助手席の窓ガラスが降りると、二階堂さんが私を呼ぶ。
「あっ、はい」
助手席に乗り込むと、ちらりと彼に目を向ける。ハンドルを握る綺麗な手が目に入り、この指が私の頬に触れたことを思い出してしまう。
一気に顔が熱くなりそうで、私は慌てて手から視線を外した。そして彼の服装を見れば、シンプルなグレーのパンツに、ブラックのニットというシンプルな装いだ。
運転をするためか、目元にはサングラスがかけれていて表情は伺いしれなかったが、スーツじゃなかったことに安堵する。
「見学は終わった?」
しっかりと見ていたことが知られてしまっていて、私は「あっ、えっと、」と口ごもる。
そんな私に、彼はクスリときれいな笑顔を浮かべた。
「うそ、いきなりごめん。強引だったことはわかってる」
いきなり素直に謝罪をされ、私は拍子抜けしてしまう。さっきまでは少しだけ強引なんだからそう思っていた。
しかし、忙しいと言っていた彼が、どんな理由であれ時間を作ってくれたことが純粋にうれしい気持ちが勝る。
「いえ、大丈夫です」
少し笑顔を見せれば彼はホッとした表情を見せた。