エリート警察官は彼女を逃がさない
だから、私は切なさを隠して、いつも通り仕事に励んでいた。

「美緒、なんか今日は清々しい表情してるわね」

「そう?」
いつものように咲良と休憩を取りながら、私はお弁当を口にした。

「ごはんの上、ほとんど梅干しじゃない。どうしたの? もらったの?」
雑穀米に梅干しを三個入れたのは、なんとなく無意識だった。特にもらったわけでもないし、たくさん余っていたわけではない。

「そういうわけじゃないけど、なんとなく食べたくて」

「美緒、すっぱいもの好きだった? どちらかと言えば苦手だったじゃない」
そう言われれば確かにそうかもしれない。夏場、弁当の傷みを防止するために梅干しを入れていたが、特に食べたかったわけではない。

「そういえばそうだね」
咲良に言われるまでまったく気なしだったが、そのことが引っ掛かりを覚える。
確かに最近、味覚が変わった気がする。疲れや、多少彼とのことでストレスがあったせいだと思っていたが、体調も思わしくない日もある。
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