エリート警察官は彼女を逃がさない
そんな不安がグルグルと頭を占拠していく。咲良の家に着いた時には私はきっと真っ青だったと思う。

「入って」
言われたまま咲良のワンルームに入り、紙袋をテーブルに置いた。そのはずみで中の検査薬が転がり落ちる。

「これ……」
それだけで咲良は悟ったのだろう。私の態度からもきっと言えるような関係ではないことも。

「一緒にいるよ。検査する?」
一人より咲良がいてくれた方がいろいろ決心がつく気がして、私はコクリと頷いた。
検査のパッケージを開ければ、知識だけ知っていたそのモノに背中に冷たい汗が流れる。

「いってくる」
咲良に言ったというよりは、自分に言い聞かせたのかもしれない。
私は検査薬を持ってトイレへと向かった。

ーーそして……。
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