エリート警察官は彼女を逃がさない

チェックインの時間も近いことから、たくさんの人がフロントへやってくるのを、笑顔で対応していく。

「よいお時間をお過ごしください」
目の前の初老のご夫婦にルームキーを渡しながらそう言った私だったが、不意に横にいた女性に目を奪われる。海外の血が混じっているのかもしれない。ブラウンの長い髪に、ピタッとした体のラインが出るブラックのドレス。それがものすごく似合っていた。

流暢なフランス語を話す彼女に、新人のスタッフが私にちらりと視線を送るのが分かった。

目配せして対応を変わるように合図をすれば、彼女はホッとしたように私と入れ替わった。

「お待たせいたしました。記帳をお願いできますか?」
そう伝えれば、彼女は頷いたものの何かあったのか、ロビーへと目を向けた。

「マサ!」
誰かを呼ぶと、そこに身長の高い男性が現れた。同じく外国の方だろうか。髪の色はブロンドで目元はサングラスで覆われている。
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