エリート警察官は彼女を逃がさない
「公安か……」
警察官へと柔道指導もすることがあった父はぽそりと口にする。
遊ばれたわけでもなく、ただ伝えられなかったのかと思う。しかし父がさらに続けた。
「公安ならなおさら認められない。立派な仕事だとは思うが、家族にも危険が及ぶ」
「その心配はもう……」
呟くように聞こえた声に私はハッとして、征爾さんに視線を向けた。
「征爾さん! 大丈夫ですか?」
起き上がろうとする彼を制しようとするも、それを拒否して起き上がった。
「これからは普通に警察庁に勤務するとになりました。だから現場にでることもありません」
今までも警察庁から警視庁公安へ出向していたと征爾さんは説明した。
「そう決意させてくれたのは美緒さんのお陰なんです」
私の? いきなり話の中に自分が出てきて驚いてしまう。
「今まで生きてきて、なんとなく自分を大切にする必要はないと思っていました。でも美緒と出会って、彼女を守りたいそう思ったんです。だから、もう一度私に時間を頂けませんか?」
そういうと、征爾さんは深々と頭を下げた。