エリート警察官は彼女を逃がさない
そんな彼を父はジッと見つめた後、立ち上がった。
「さっさと美緒を連れて行け。でも今度泣かすようなことがあれば、次の試合は容赦しない」
「お父さん!」
勝手に連れて行けと言われた私は、慌てて父を呼ぶ。
「美緒、彼がここまで誠意を見せてくれたんだ。お前もきちんと自分のことは自分で始末をつけなさい。話をしたうえでここに戻ってくると決めた時は反対はしない」
その優しさに私はキュッと唇を噛む。
「ありがとうございます」
そんな父に征爾さんは安堵したようにお礼の言葉を唱えた。
「とりあえず征爾さん、そんな体で無理をしたんだから、もう少し休んでいなさい。ご飯ができたら呼びに来るわ。自慢の野菜いっぱい食べたらすぐ治るわよ」
母は楽しそうにそういうと、部屋を出て行った。