エリート警察官は彼女を逃がさない

「二人ともいい加減にしてください」
呆れたように美香先生がため息交じりに言葉を発する。
「一度診察しますから、二人とも外に出て」
仁王立ちの美香先生に、征爾さんたちはおとなしく出て行った。

「まったく、男ってバカよね」
美香先生はとてもきれいで優しくて、妊娠中の私をずっと見守ってくれた人だ。
「本当ですね」
同意をすれば、美香先生は私の子宮口の開きを確認する。

「そろそろね。分娩室に移動しましょうか」
その言葉に、私は母として気合を入れる。
――絶対無事に産むからね!待ってて。

そう心で誓った。
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