エリート警察官は彼女を逃がさない
「疲れた……」
フロント業務も様々なお客様が見えるが、今日のVIPはけた違いだった。
後片付けをして、ホテルの従業員出口を出たころには、22時を回っていた。
疲れもピークの私は足取り重く駅へと歩いていると、ハザードを灯した一台の高級車が目に入った。
その横を通り過ぎようとしたところで、窓ガラスが開き私はビクっとしてその車をみた。
咄嗟に防御の姿勢を取った私に、今度は笑い声が聞こえた。
「君に何かをしようとしたら、逆にやられそうだな」
その声にハッとする。そこにいたのは紛れもなくさきほどまで冷徹な表情で会場にいた二階堂さんだったのだ。