エリート警察官は彼女を逃がさない
そのふざけたその物言いに、私はコホンと姿勢を正すと「お疲れ様でした」と頭を下げた。
「送るよ」
「え?」
まさかそんな言葉をかけられると思っていなかった私は、ポカンとしていたのだろう。
その表情をみて二階堂さんも意外そうな顔をする。
「だから乗って」
“だから”の前は送るであっているのだろうか。まだ電車もあるし、夜遅くても私は護身術もある。送ってもらう理由などまったくない。
「いえ、結構です」
まさか断られると思っていなかったのか、二階堂さんは一瞬言葉を止めたあと車から降りてくる。