あの夜を閉じ込めて
氷点下の世界




ふたりで重なり合うには狭すぎるシングルベッド。

床には身につけていた洋服が点々と置かれていて、最後はショーツで終わっている。動くたびに軋むスプリングが生々しくて、ふと現実に返っては恥じらうように顔を隠した。

「ダメ、見せて」

世界で唯一のものを作り出す職人気質の手が、私の両腕を押し広げた。

窓の外は、ホワイトアウトになっている氷点下の世界。

扉の向こうには、真っ赤に燃えたぎっている炎が見える。

-3℃と1300℃。

寒さと熱さが混沌とした部屋で抱かれた夜のことを、私は今も忘れることができない。



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