冬の夜、君と2人で。
第4章


そう1人考えながら、色んなものを見ていると、ふと、クリスマスプレゼントの特設コーナーを見つけた。

丁度いいじゃんと思い、しゃがんでいた姿勢から立ち上がった。

最初からここに来ればよかったなぁ、と思いながらもその場所に向かう。

「あ、なんかいいの見つけた?」

冬夜くんが子供のように目を輝かせながらこっちに寄ってくる。

「あ、いや、特設コーナーあるなって思って」

冬夜くんは、私のその言葉を聞くと、私が向かおうとしていた方に目を向けて、

「あっ、ほんとだ! 弥生ありがとう」

私は冬夜くんにありがとうと言われたのに思わずうろたえてしまった。

「いやいや、コーナー作ってくれたのはお店側だし、私何もできてないし……」

つい、うじうじしてしまう私に対しても、冬夜くんは笑顔で見守ってくれる。

「そんなことないよ」

冬夜くんは、小さい子をあやすように温もりのある声でそう言う。

「それに、僕もごめんね。もう少し早く来てれば、慌てなくてすんだのに」

確かに、それは少し気になっていた。

じゃあ買い物に行くのいつにする?って聞いたら、「クリスマスイブ」と返ってきたのだから。

「それは別に気にしてないけど……。なんで今日にしたの?」

そう聞くと、冬夜くんは首に手を当てて、「うーん、どうしよっかなー」と、いたずらっ子のように笑う。

「それはまた教えるよ。例えば、買い物終わった後とかね」

そんなもったいぶらなくてもいいのに。

でも、そうした方が、買い物も早く終わりそうなので、大人しく従うことにする。

私は、少し向こうに良さげな物を見つけて冬夜くんに背を向けた。

「会いたかった、なんて言ったら困るに決まってるし……」

その時の私は気づかなかったんだ。

冬夜くんが、1人で顔を紅くさせながら、そう呟いていたことを。
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