溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「……はーあ。どっかにいいイケメンが落ちてればいーのにね」

「あ、あはは……」


いいイケメンかっ……面白いな莉奈ちゃんは。


「まぁ……入学したばっかりで大変なことありまくりだろうけど……どうにか頑張ろう？」

「そうだね！」


心配なこともあるけれど、それよりも楽しみなことでいっぱいだ。


「……あ、そういえば、佐伯先輩とかどうなの？」

「えっ？あ、たしかにかっこいいとは思うけど、別にって感じだよ」

「へぇ。そっかぁ」

「に、ニヤニヤしないでよ！」

「ははははっ、ごめんごめん」


あんな顔してたら、佐伯先輩きっとモテるんだろうなぁ。

……ん？けど地味な格好してたよね？


「っていうか莉奈ちゃん昨日は気をつけなって言ってたじゃん！」

「え？そうだっけ」

「言ってたよ！」

「ごめんごめん忘れてたわ」

「もー……」


莉奈ちゃんらしいな。


「……あ！莉奈！！」

「げっ……幼なじみ」


お、幼なじみって呼び方……。


遠くから手を振って走ってくるのはおそらく東さんだろう。


「なに？莉央」

「中学校まで送っていくよ？」

「いいよんなの。さっさと高校行けっつーの」

「もーツンデレなんだから」


なんだか東さん、しっぽ振ってるように見える……。