溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「……せ、先輩……!私は、先輩と結婚しますから!」
「っ……あ、ありがとう……ごめん、照れる……」
先輩はそっぽ向いてしまったけれど、耳が赤くなっていた。
ふふっ、なんだか、嬉しいかも。
やっぱり、日頃私はドキドキさせられっぱなしだから、先輩が照れてくれるととっても嬉しい。
「……はぁ……ガチ、僕の彼女可愛すぎ」
ぎゅうっ。
包み込まれるように先輩に抱きしめられる。
先輩、また背伸びたかな?
なんだか、日に日に抱きしめられた時の安心感がやっぱり変わって行く。もちろんいい方に。
「……真白ちゃん、ありがとうね、婚約」
「いえ!こちらこそ、私なんかと婚約して——」
「私“なんか”じゃないよ?真白ちゃんは天使なんだから、もっと自分のこと肯定して?」
「へっ!?あ、ありがとう、ございます……?」
「ふふっ、そうそう」
先輩、なんだか一瞬とっても黒いオーラを出しているように見えたけどっ……き、きっと気のせい、だよね……!!
けど……先輩の、偽りのないとわかる笑みが、愛おしくて、可愛らしくてカッコよくて、胸がいっぱいになる。
「……じゃあ、帰ろっか」
「はい!」
「よかったら僕の屋敷寄ってく?アイス取り寄せたんだけど」
「ぜひ!!」
こんな感じで、私たちはとっても幸せに再び過ごしていた。
……けれど、やっぱりずっと幸せに行くことはなかったのだっ……。