溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
意識が飛ぶ前に、わかったことは……それは、一瞬だけ見えた白鷺さんが、私を抱きしめていて……不敵な笑みを浮かべていたと言うこと。







「……んっ……」

あ、れ……?


ここは……保健室……?


「!真白ちゃん、大丈夫……!?」


すぐに視界に入ったのは、ものすごく心配そうにしている千星先輩だった。


「は、はい……!な、なんで私ここに……?」

「熱、だって」

「へ?」

「38.6℃だから、安静にしてて。あと少しで真白ちゃんのお母さんが迎えにくるから」

「あ……わかりました。ありがとうございます」


そう言って先輩に微笑む。

先輩は、なんだか切なくて複雑な表情をしながら微笑み返してくれた。


シャーッという音がして、ピンク色のカーテンが開く。


「真白ちゃん、よかった。起きたんだね」


そう言ったのは……白鷺さんだった。


「びっくりしたよ。倒れて抱きついてくるから」

「……え?」


た、倒れて……抱きつく!?


そんなこと、してない……!!


「わ、私は——」

「……なに、それ?」


驚くほど低い声を出した千星先輩。


「真白ちゃんが、フラフラしててそのまま俺に抱きついてきたんだよ。まぁ、力がなかったから仕方なかったんだろうけど」


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