溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「あれ?照れちゃった?可愛いなぁ」

「か、からかわないでください……!」


鏡で見てもないのに、いま顔が真っ赤だってわかるぐらい頬が熱い……。


私ったらバカだ……!先輩はきっと冗談なのに……!

ドキドキと心臓が加速する中、ふぅと息を吐いてどうしにか正気を取り戻す。


「からかってなんてないよ?」

「っ……」


そういうところだって……。


はぁっ……先輩はきっと、女の人にモテモテでこうやってからかえるぐらいになってるんだろうな。


その時だった。


ぎゅうっ。


「……へ?」


な、なんで……?

いつのまにか先輩にぎゅっと抱きしめられていた私。

「あ、あのっ……」

「……あ。ごめん。車、危なかったから」

「へ?あ、く、車……」


何台かの車が走っている道路。

……助けてもらっちゃったのか……。


「あ、あのっ……あああっ……ありがとう、ございました……!!」


ペコペコと頭を下げる。


「あはは、いいよいいよ。」

「っ……!!失礼します……!!!」


そう言った私はダダダダダと勢いよく走って学園に向かう。


先輩、いい匂いしたし……思ってたより、背も高いように感じられた。

そりゃあ、三年生だったらそうかもしれないけれど……。


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