溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「ふふっ、真白ちゃんはお勉強頑張ったからね」

「やったぁー……!!頑張ってよかったです!」

「ふふっ、あんまり喜ばれると照れちゃうよ」


余裕の笑みを浮かべながらそんなことを言う先輩。


「か、からかわないでください」

「だからからかってはないんだけどな〜」


絶対からかってるのに……。


「あ、先輩、ジュース持ってきますね!」


さっきまでお茶ばっかりだったし。


「僕が持ってくるよ?」

「いやいやここ私の家ですし!」

「けど大変でしょ?」

「いえ!オレンジジュースでいいですか?」

「うん、ありがとう」


先輩はにっこりと微笑んでくれた。


「はい!」


元気よく返事をして、部屋を出た。


階段を降りて、キッチンへ向かう。

にしても……先輩、本当に頭がいいな。


「お母さん、オレンジジュース持ってっていい?」

「いいわよ〜」


コップを取り出して、オレンジジュースを注ぎ先輩の元へ運ぶ。

こぼさないように気をつけないと……。


小さなおぼんの上に二つ乗っているオレンジジュース。


……あ。部屋のドア、どうやって開けよう……。

先輩に頼むか……。


「先輩!ドア開けてもらっていいですか?」

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