溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「よかったらさ、夏祭り、一緒に行かない?」

「……ふぇ?」

「嫌?」


しゅんとした表情を浮かべる先輩。


っ……そんな顔されたら……。


「い、行きたいです……!」


こう言うことしか、できない……!!


ドキドキと音を立て始める心臓。


……少しは、希望を持ってみてもいいかもしれない。この恋も。


だって、恋する乙女はみんな、一度その人を好きになってしまったらもう想いを止められないはずだから。


「……!本当……?!」

「はい!」

「じゃあ、よろしくね……!夏祭り」

「は、はい……!よろしくお願いします……!!」


なんだか、キラキラしたフィルターがかかったみたいな世界。


もしかしたら、前にプリンにかけた魔法以外にも先輩は魔法が使えるのかもしれない。



「……じゃあ、僕はここで。バイバイ〜」

「さようなら……!!」


手を精一杯振って、私は家に入って行った。


……よくよく考えてみれば、一緒に帰る時は先輩、毎回家まで送ってくれていた。

それこそ、最初から。


……あれ、でもどうして知ってたんだろう、家。


たしか生徒会長らしい千星先輩だけれど、そんな家まで知ってるものなのかな?

< 48 / 150 >

この作品をシェア

pagetop