溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「手、繋ぐ練習するか」

「……へ!?て、手……!?」

「ああ。いつか、なにかあった時使えるだろ?だから俺で練習してみろ」

「えええ……!?」


い、いつかって……。

先輩と、手を繋げる日が、来るかもしれないってことかっ……。


「ほら」


差し出された蒼の手。


……練習……!だから……!


ぎゅっと蒼の手を握る。


「ん。じゃあ写真撮るな」

「え?」

「成長記録だよ」


にこっと不敵な笑みを浮かべた蒼はパシャっと私たちの自撮りを撮った。


「な、なんで……!?」

「この方が、成長してるって、わかりやすいだろ?」

「た、たしかに……?」


そうなのかな。


「……なんか、蒼手大きくなったね」


小さい頃は私の方が背も高かったのに。


「そりゃそうだろ。」

「あはは、そうだね」


……先輩の手も、大きかったなぁ。

今日は引っ張られてる状態だったけど……また、手繋ぎたいな。


「……あ、あのさ!蒼は何人の人と付き合ったことあるの?」

「いや、ないけど」

「……え!?な、ないの!?こんなにカッコいいのに!?」


ぜ、絶対モテモテだと思ってた……!!

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